その他

AKAPTOT会ニュース第66号(2022年8月)

AKAPTOT会ニュース第66号(2022年8月)

2023.7.20

日本関節運動学的アプローチ(AKA)医学会理学・作業療法士会ニュース

Vol.66  2022.8

 

  • 『重要なお知らせ』

本会におきましては、新型コロナウイルス感染拡大・予防の観点から現時点での事業計画は同封の総会資料内の「2022(令和4)年度事業計画」の通りとなっております。引き続き感染状況を鑑みながら様々な情報を収集し、また皆様の健康・安全面を考慮しつつ前向きに事業の計画・推進を図って参る予定です。

現段階においては技術研修コースの参加をお考え、心待ちにされていた皆様のご期待に応えることができず大変心苦しいですが、何卒状況ご理解の程宜しくお願い申し上げます。

現状として当会理事会で検討の結果、予定されています事項につきましては同封の総会資料をご覧下さい。

ご意見の有無につきまして皆様もれなく同封のはがきにご記入の上、ご郵送下さい。

はがき「確認書」締切 9月末日必着

 

 第22回学術集会(福岡)開催のお知らせ

新型コロナウイルス感染拡大の影響がある中、第22回学術集会を福岡市で2022年10月10日(月・祝)に実際にご来場頂く形の対面式とweb上で閲覧頂くオンライン式を合わせたハイブリッド形式で開催することになりました(当日参加不可の方も申込みの上、オンデマンド配信で閲覧可能)。

前回大阪から3年数か月ぶりの開催となることもあり、内容および開催形態含め、当会として新生的な学術集会となると考え、テーマを「AKA-博田法のこれまでとこれから」とし、開発から34年経過するAKA-博田法、発足から24年経過する当会の集大成的なものになるよう企画致しました。

皆様にとりまして興味ある、充実したものとなるよう準備委員一同準備を進めております。

詳細については同封の案内および学術集会専用サイト(下段QRコードからお入り下さい)をご覧下さい。専用サイトおよびSNSでは随時情報をアップしておりますのでチェックして頂き、皆様の周囲やお知り合いのセラピストに広く情報拡散をお願い致します。

内容的に非会員の方にもAKA-博田法についてお知り頂くにはよい機会となると確信しております。

多くの皆様のご参加を心よりお待ちしております。

  • 学術集会開催要項

テーマ  :「AKA-博田法のこれまでとこれから」

開催日時:2022年10月10日(月・祝)9:00~16:00

会場    :福岡国際会議場 国際会議室501 (2007年 第8回学術集会会場)

福岡県福岡市博多区石城町2-1 https://www.marinemesse.or.jp/congress/

開催形式:ハイブリット開催(対面式+オンライン配信式) 感染状況により変更あり

*オンデマンドでも配信の予定

プログラム:特別講演「AKA-博田法による診断と治療」片田重彦先生(AKA医学会理事長)

教育講演「AKA-博田法の基礎」               小松勝幸先生

パネルディスカッション「AKA-博田法のこれまでとこれから」

農端芳之先生(当会理事長) 井端康人先生

スキルアップ講座「技術習得に必要なことは」   前田智秀先生 伊藤浩一先生

会長講演「物理医学としてのAKA-博田法に育てられる」     杉尾秀一

*申込完了者:ID・パスワード付与。各自申請手続きの上、単位認定(当日参加会員のみ)

 

  • 動画配信サービスのお知らせ(再報)

昨年6月よりAKAPTOT会学術集会の動画をYouTubeで限定配信しております。新型コロナウイルスの感染拡大・予防の観点から当会の主な事業である研修会開催が困難な状況が続いている中で、AKA‐博田法を学習できるコンテンツとなっております。プライバシーの問題もあり全てを配信することは困難ですが、皆様の日々の臨床の助けになればと思いますので、ぜひご利用ください。

以下視聴方法を案内します。

1、日本AKA医学会理学・作業療法士会ホームページにアクセス(http//akaptot.com/)

2、会員専用ページにログイン

3、その他の項目の動画配信をクリック

4、演題をクリックすると動画が視聴できます。

配信スケジュールは以下の通りとなっています。

配信時期 AKAPTOT会学術集会
2021年6月1日~

(現在配信中)

2019年 第20回学術集会(大阪)

AKA-博田法・ANT 未来(明日)への道標

2021年9月1日~

(現在配信中)

2018年 第19回学術集会(愛知)

臨床力を高める

2021年12月1日~

(現在配信中)

2017年 第18回学術集会(山口)

AKA-博田法・ANTと動作

2022年3月1日~(現在配信中) 2016年 第17回学術集会(福岡)

専門職として存続するために~評価と治療の妥当性~

2022年6月1日~ 2015年 第16回学術集会(神奈川)

運動療法と関節の機能

 

  • リレーコラム(第25回)

 姿勢と身体感覚(雑感)」

九州・沖縄ブロック 大分協和病院 後藤 剛

最近、外来患者さんから「背中が曲がっていませんか?」、「ネコ背を治すにはどうしたいいですか?」など姿勢に関する質問をされることが多くなりました。世間では「健康寿命」という言葉が浸透し高齢者のみならず中高年の間でも自分の姿勢を気にされる方が増えてきたと感じます。背中や腰がまっすぐで見かけ上も若く見えることを望むのは決して悪いことではありません。今から遡って明治、大正を生きた人々は姿勢について何か思うことはあったのでしょうか?100年前の大正11年の平均寿命は驚くことに43歳、今の平均寿命が男性81歳、女性87歳ですからわずか100年で2倍になりました。明治大正時代の人々は「生きていくため」「働くため」に姿勢を意識することはあっても、「若くみせるため」に姿勢を意識することはおそらくほとんどなかったと思います。ここで会員の皆さんに1枚の写真をみていただきたいです。

https://akaptot.com/wp-content/uploads/2023/07/202208news01.jpg

この写真は山形県で大正末期に撮影されたもので女性が米俵5俵を担いでいます。米俵1俵の重さが約60kgでそれが5俵ですから約300kgをひとりで担いでいることになります。女性の体型を見ても筋骨隆々という感じではなく、また精一杯力を入れて担いでいる感じもしません。私はこの写真を見た時に初めて姿勢と身体感覚の重要性について考えるようになりました。昭和40年以降高度成長期を迎えた日本の生活様式は畳の上に坐る生活から椅子に腰掛ける洋式生活へと大きく変わりました。このころの生活様式の変化で私が最も身体感覚に影響したと思うものに和式便所が挙げられます。日本人にとって和式便所でのしゃがみ動作は低い姿勢を保つ身体感覚に大変重要だったと思われます。和式便所の減少で日本人のしゃがむことへの抵抗感が自然に植え付けられ、その結果、股関節は硬くなり仙腸関節の柔軟性も低下してきている可能性が示唆されます。

AKA-博田法において腰を使う(腰が入る)ことは技術習得に必要不可欠です。かつての日本人においても腰を強調する多くの言葉がいくつも残っています。「腰抜け」、「弱腰」、「へっぴり腰」、「逃げ腰」などなど...振り返れば指導者研修会で博田先生から再三言われていた言葉ばかりです。“腰を使う”具体的な方法論について調べてみると「丹田の意識」という内容が多く書かれています。丹田とは道教(中国の宗教)で心身の精気が集まる場所とされ中でも臍下3寸(約9cm)にあるといわれる下丹田が日本では最も知られています。この下丹田は立位での身体重心位置が第2仙椎の高さでほぼ同じ場所になります。丹田の意識は呼吸と密接に関係しており息を長く緩やかに吐くと下腹部がへこみ肩の力は抜け腰が入ります。腰が入ることで指先の感覚は大きく変わり微妙な動きを触知できるようになります。私自身も治療を施すときには常に丹田を意識して行うことを心がけています。

指先の感覚について余談ですが、先日、ロバート・フルフォード著「いのちの輝き」という本を読みました。フルフォード博士はアメリカでオステオパシー医として90歳を超えても現役で治療していた方だそうです。この本の中で博士は指先の感覚についてこのようなエピソードが記されています。一枚の紙の上に髪の毛を1本置き、その上に紙を1枚のせ紙の上から指先の感覚だけで髪の毛を触知するのです。ここで驚くのはフルフォード博士が18枚の紙の上から髪の毛を触知したと書かれていたことです。私も試しにやってみましたが11枚が限界でした。指先の感覚トレーニングとして今後も継続してみたいと思います。

最後に私の腰痛外来患者の治療の進め方についてお話します。新規で来院された患者には初回に日常生活での姿勢(仕事での姿勢、家でゆっくり過ごすときの姿勢など)について詳しく聞き取りを行います。これは日常で習慣化した姿勢が骨盤や脊椎のアライメントに影響することが長年の治療経験からわかってきたからです。患者の姿勢、特に座位において日頃から柔らかいソファに長時間座って過ごす方や椅子の背もたれにもたれかかり殿部が前方に滑った姿勢、いわゆる「仙骨座り」になる方は骨盤アライメントを触診で確認すると仙骨はやや下方に偏位し仙腸関節の下部が硬くなっていることが多いです。このような方には仙腸関節の治療と並行して腰痛を起こしやすい座位姿勢を患者に理解してもらい姿勢の指導を行うことで腰痛の再発頻度が以前に比べてかなり減少しました。

姿勢と腰痛の関連については次号の当士会誌に投稿させていただきましたので読んでいただけると幸いに存じます。

 

  • 都道府県別会員数  859名 (令和4年8月1日現在)

北海道   6    青森  1  秋田    4    岩手   4    宮城    5    山形   13

福島     4    茨城    3    栃木   28    群馬   11    埼玉   23    千葉   45

東京    37    神奈川  88   新潟   1    富山   1    石川    1    福井    2

山梨   133    長野    6    静岡   18   岐阜   5    愛知   21    三重    1

京都    21    滋賀    7    奈良   12   和歌山  6    大阪   87    兵庫   25

岡山     6    広島   12    島根    5   鳥取   8    山口   42    徳島   19

高知    12    香川   13    愛媛    7    福岡  50    長崎   28    熊本   11

大分    10    佐賀  1  宮崎    1   鹿児島  7    沖縄    8

 日本AKA医学会理学・作業療法士会

事務局 E-mail : aka-pt@dream.ocn.ne.jp(お問合せはE-Mailでお願い致します

 

(編集後記)

今年も猛暑が続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。6月末の時点で全国的にも感染状況が落ち着いていたことから10月の福岡学術集会についてハイブリッドでの開催を決定した途端、7月以降は急激に第7波が押し寄せています。WHOの発表によると7月第3週の日本のコロナ感染者数は世界一位であったようです。編集者の周囲でも感染した旨の話をよく耳にします。国民の10人に1人が感染している換算になります。しかしながら、世上の動きに合わせ当会の動きも理事を中心に少しずつ動き出しており、今できること、会員の皆様に対してできることを検討しています。

学術集会は7月より申込受付をweb上で開始しています。今回はAKA-博田法の集大成的な内容になるよう企画しておりますので、非会員の方も含めまして皆様お誘いあわせの上、奮ってご参加下さい。皆様と直接・間接問わずお会い出来ますことを楽しみにしています。

今回のリレーコラムは評議員で指導者助手の後藤先生が執筆して下さいました。とても面白く、参考となる内容です。

今年度の総会も資料を送付し決議についてはハガキの返信結果で決裁させて頂く形態となりました。つきましては皆さん各自ご記入の上、速やかにハガキの郵送をお願い致します。末筆ながら、くれぐれもご自愛ください。